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2009年2月15日学会発表時のスライド(PDF形式のみ公開)

2009年2月15日学会発表時のプログラム抄録

※学会発表時点での内容であり、最終的な論文とは内容に相違があります。

【演題名】
エディプス期における親への同一化と近親相姦的リビドーから考察する
性自認と性指向、パーソナリティ障害の関連


1.本研究の目的
セクシャル・マイノリティ当事者の視点から、性自認、性指向の決定メカニズムを
探ることを目的としている。
当事者との交流の中で、一般社会 < 同性愛 < 性同一性障害 の順に
『性格の偏り』や『判断力の欠如』が大きくなるとの実感を持った。
その原因を探ることによって、同性愛や性同一性障害の発生原因に迫ることが
できるものと考え、研究を行った。

2.研究の方法
・自分自身を含め、当事者の家族構成、親の性格傾向、子の性自認、性指向について、
 収集と整理を行った。
・ネットの掲示板、SNS等を利用して、
 『親をどのように思うか』という内容の心理調査と、
 プロフィールの調査(性自認、性指向と精神症状の有無)を行った。
・『同性愛の男女比は男性が多い』など、既に知られている情報も含め、
 ブレイン・ストーミングに準じた方法で、
 当事者から関連のありそうな項目を抽出してもらった。

以上のデータを整理することにより、以下の結果を得た。
・同性愛、性同一性障害、ともに、親への依存または嫌悪が高い割合で存在する。
・親への依存と嫌悪は、性自認や性指向と密接な関連性が認められる。
・一部の事例において、同性愛と性同一性障害の分岐点の存在、
 近親相姦的リビドーの遅延と男女逆転が確認された。
・性自認、性指向の未確定な場合は、抑うつなどの精神症状とともに、
 精神の未熟な傾向が強い。

3.研究の結論
親への依存と嫌悪が、エディプス期の同性の親への同一化、
異性の親へ近親相姦的リビドーを向けることに対する
阻害要因であることが確認できた。
・同性の親への同一化を阻害する要因は、異性親の依存、同性親の嫌悪である。
・異性の親へリビドーを向けることの阻害要因は、
 異性親の依存、異性親の嫌悪、同性親の嫌悪である。
・嫌悪対象として、B群クラスタのパーソナリティ障害(主に境界性)
・依存対象として、C群、B群クラスタのパーソナリティ障害(共依存を形成するもの)
以上の条件を、父親、母親にそれぞれ当てはめてパターン化し、
実際の当事者の性自認・性指向、家族構成や親の性格傾向と整合性の検証を行った。
また、同性愛の男女比との整合性の検証も行った。
両親の一方または両方に、依存または嫌悪の対象となるパーソナリティ障害が
存在することによって、性自認、性指向の狂いが発生する可能性が高いものと
考えられる。
(性格傾向を説明する都合上パーソナリティ障害としているが、診断基準に達し
ない、その傾向を持った人を含む)

2009年2月15日学会発表時の発表原稿

ページと説明原稿(スライドファイルのページ番号に対応) 

※学会発表時点での内容であり、最終的な論文とは内容に相違があります。

P1
性指向・性自認のセクマイ当事者による研究会  山岡 純也 と申します。
演題は、抄録記載のとおりですが、わかりやすく言い替えると、

P2
『性同一性障害と同性愛の発生メカニズム』。
性自認と性指向は、こうして決まる、となります。

P3
謎とされていた、セクシャル・マイノリティの出生から、性自認・性指向の確定までを、第三者として実際に経過観察し、精神医学的、心理学的に分析することによって、原因を把握できました。
それに幅広い複数の調査研究を組み合わせ、性自認、性指向の決定メカニズム全体を理論的に説明することができました。

P4
ここに、両親の性格傾向、男の子、女の子、それぞれの組み合わせについて、一覧形式にしています。性指向については、嫌悪対象以外であれば、どこにでも向く可能性があるため、机上の研究では結論へ到達できません。そこで、この研究では、実際の同性愛当事者とその家族から集めたデータの共通項を見つけ出す手法によって結論を導いています。

P5
まず、生まれてから3歳くらいまで。
お母さんのおっぱいを飲んでいる時期です。
子供は、自分が、お母さんと一体のものと考えています。▲P4

P4
次に、エディプス期と言われる、3歳から5、6歳の時期。
この頃に、自分が男か女か、男が好きか、女が好きか、が決まってきます。【P6へ】

P6
男の子の場合。
おちんちんが付いているから、お父さんと同じ、ということで、自分をお父さんに重ね合わせます。これが性自認です。お父さんと同じようにお母さんが好き。となって、これが性指向です。

P7
女の子の場合。
おちんちんが付いていないから、お母さんと同じ、ということで、自分をお母さんに重ね合わせます。これが性自認です。お母さんと同じようにお父さんが好き。となって、これが性指向です。

P8
MtFの場合は、子供を離さない母親の存在があります。
男の子ですから、お母さんから離れて、お父さんの方へ行かなければなりませんが、
母親が離してくれないので、行くことができず、自分はお母さんと同じ女の子だと認識してしまいます。

P9
FtMの場合。
お母さんの、キレやすい性格が原因です。
近くにいると、怒鳴られたり、叩かれたりしますから、お父さんの方へ逃げて行ってしまいます。お母さんと同じようになりたくないから、自分はお父さんと同じ男の子だと認識してしまいます。育児の主体が母親のため、性格が偏りやすいと言えます。

P10
同性愛の発生パターンは、3種類あって、ゲイの一つ目は、MtFと同じ。
おちんちんが付いているから、男の子だということはわかった、けれども、お母さんが離してくれないので、お父さんの方へ行けない。その結果、お母さんと同じようにお父さんが好き、となって、男女が逆転してしまいます。同じ条件を女の子に置き換えると、性自認、性指向ともに影響がないので、これが、同性愛が男性に多い原因になっています。

P11
ゲイの2つめのパターンは、父親嫌悪です。
近くにいると、怒鳴られたり、殴られたりしますから、お母さんの方へ逃げて行ってしまいます。その結果、お母さんと同じようにお父さんが好き、にはなれないので、お父さんと違うタイプの男性が好き、となります。このことが、年齢や体型、顔立ちといった好みのタイプが分かれる原因につながっています。

P12
ゲイの3つめのパターンは、母親嫌悪です。
お父さんの方へ逃げて行き、お父さんと同じ、で性自認には問題がなく、精神的には男性なので、タチです。しかし、お母さんが嫌いで、それが女性嫌悪につながり、男性しか愛せないということになります。

P13
ビアンも、ゲイの男女が逆になった3パターンあります。
父親嫌悪から男性嫌悪につながり、女性しか愛せなくなったタイプ。

P14
2番目が、母親嫌悪で、FtMと同じ原因です。
お父さんの方へ逃げていき、お父さんと同じように女性が好き、となり、母親とは違うタイプの女性が好きになります。

P15
3番目が、父親依存型です。
お父さんと同じようにお母さんが好き、となります。
一般的に、父親が育児の主体になることはないので、このタイプだけでの影響は少ないと考えられます。

P16
実際の当事者との整合性を検証しました。

P17
若専といわれるゲイです。
中年以上になっても、20代くらいの若い人が好き、というゲイの人の共通項を調べると、父親が嫌い、ということがわかりました。年上イコール父親にイメージが重なるので、年上を避けているということになります。

P18
デブ専といわれるゲイです。
実際にいる家族の例ですが、小柄でやせ形の父親が嫌いです。 兄弟揃って、デブ専です。遺伝的要素で、好みのタイプまで決まるとは考えられませんから、原因が養育であることは明かです。

P19
次に、ゲイとビアンの両方がいる家族の例です。
このように、キレやすい人と、しがみつく人の組み合わせがセクマイの両親となっている例が多いです。同性愛や性同一性障害を作りやすいうえに、安定した父親像がなく、母親も精神が弱いため、子供の精神面に影響が大きく、うつや自殺につながりやすくなっていると言えます。

P20
最後に、補足として、基本とは少し違うケースを紹介します。

P21
MtX、FtX。
両親が、極端な性格の偏りはないものの、精神が未熟で、親と子供が友達レベルでしかなく、性自認や性指向を決める土台がないというものです。

P22
MtX、FtXで、Aセクシャル。
どちらにもなりたくない、どちらも好きになれない状態です。

P23
最後に、母親嫌悪型のMtFです。
母親が嫌いだけれど、母親に脅され、しがみつかされて逃げられず、性自認が女性になってしまうというものです。

P24
研究の結果のみを、ごく簡単に説明させていただきました。
詳細につきましては、ホームページなどで順次公開を予定しております。
本日発表のスライドにつきましては、すでにホームページに掲載しておりますので、
お帰りになってから、ネットでご覧いただければと思います。

最後に、性同一性障害、同性愛、ともに、親によって引き起こされているもので、当事者本人には、何の責任もないということを申し上げます。

ご静聴ありがとうございました。

論文掲載学会誌の入手方法

GID学会 ホームページ にてご確認ください。
2009年12月発行 第 2巻

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Posted by yamajun